編集人の戯言・・・です

ごった煮のような内容です。中身ありません。

小説っぽいもの・・・アラブ種の逆襲 4

あれから数週間が経った。未だに俺との同行はない。
他の連中はすでに2回、3回と斎藤と回っているというのに。我慢できなくなって声をかけると、斎藤は書類からゆっくり顔を上げ、にやにやと唇を歪めた。
「順番があるんだって。他の奴らも頑張ってるんだよ。……お前なら一人で何とかできるだろ?」
そこで一瞬言葉を切り、斎藤は目を細めて続けた。


「なんせ、理事長に楯突くくらい……根性あるんだからよ」


その言い方。
最後の「根性あるんだからよ」の部分が、特にいやらしく、ねっとりとした響きだった。
明らかに俺を小馬鹿にし、過去の理事長事件をわざと持ち出して刺してきている。
はあ?
一瞬、頭の中が真っ白になった。
全部、繋がった。
こいつは最初から俺を相手にする気など毛頭ない。完全に敵だ。
胸の奥から熱いものが一気に噴き上がってきた。
指先が微かに震え、首筋が小刻みに痙攣するのを抑えられない。
初めて味わう、本物の怒りだった。
「……わかりました」
私は声を低く抑えて、ゆっくりと言った。
「いつまでも、お待ちしていますので」

 

部屋を出て駐車場に向かおうとしたら、後ろから「ちょっと」と声がかかった。
振り向くと、小柄で白髪交じりの年配のおじさんが立っていた。皺だらけの顔に、妙に人懐っこい笑みが浮かんでいる。
「お前、今日は俺と同行すっか?」
「え? いいんですか?」
「だってアイツ、同行してくれねえんだろ。だったら俺がしてやるよ」
そう言って、高橋さんはニヤッと歯を見せた。
車に乗り込み、高橋さんの運転で走り出してすぐに、彼は嬉しそうに切り出してきた。「お前、斎藤から相当嫌われてるなぁ」
「……多分、嫌われてますよね」
「そうだな。凄く嫌われてるな」
高橋さんはなぜか楽しげに笑いながら言った。俺は少し困惑した。なんでそんなに嬉しそうなんだ?
「だってよ、俺もあいつ大嫌いなんだよ」
突然そう言って、高橋さんはガハハと大きな声で笑った。
車内が少し震えるくらいの豪快な笑い声だった。
「だからよ、俺はお前に俺のノウハウを全部教えてやることにしたんだ」
「え、いいんですか? 俺、嫌われてますよ」
「バカ野郎。俺はもうすぐ定年だから、怖いものねえんだよ」
高橋さんはハンドルを叩きながら、また笑った。……なんか、凄くクセのある人だな。
でも、その言葉を聞いた瞬間、胸の奥に少しだけゆとりが生まれたのを感じた。
ようやく、味方ができたのかもしれない——。